「元気」って何だろう?

 

 

『元気』って何だろう?

 

 

普段よく使っている言葉です。

でも意味なんて考えたことありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょこっと検索してみました。

 

 

心身の活動の源となる力。「―が出る」「―横溢(おういつ)
体の調子がよく、健康であること。また、そのさま。
「―な子供」「お―ですか」
天地の間にあって、万物生成の根本となる精気。(goo辞書より)
 
言語の由来を調べてみると、古くは「減気」と書き、病気の勢いが衰えて快方に向かうことあらわしたそうです。近世には「験気」と書き、治療などの高架が表れて気分がよくなることの意味となり、さらに活動の源となる活力の盛んなさまを意味するようになり、漢字も「元気」になったそうです。(語源由来辞典より
 
 
 
 
講演会でトーク&コンサートをさせていただくようになって10年。人権や福祉、医療、教育、様々な会に招いていただきました。そして「挫折からの復帰」「難病を乗り越えて」というタイトルの時はいつも、自身の病気(クローン病)のことや闘病中の出来事をトークに盛り込んでいます。
病気に罹って四半世紀以上ですから、それはそれはいろんなことがありました。病気で失くしたものもありました。夢や希望、そして友人たち。未来の見えない辛い日々が長く続きました。幸せを考えることすらなくなっていました。
 
そして、そこから今の幸せに至るまで。
数多くの出逢いが私を幸せへと導いてくれました。
そして、失くしたと思っていた大切なものもどんどん戻ってきています。
しかし、ひとつだけ戻ってこないものがあることに気づきました。
 
 
 
 
 
 
実は最近、疲れがとれない日が続いていました。
朝目覚めた時から「疲れた」と感じるのです。危険信号だと思うのですが、昼寝をしても、早く休んでも一向に良くなりません。薬を飲むほどでも病院に行くほどでもありません。ただただ不調でした。
からだの調子が優れないと思考もマイナスに向かいます。
良いことはひとつもありません。
 
 
 
それが昨日、突然元気になりました。
目覚めたときに「体の調子が良い」と感じたのです。
朝からサクサクと用事が済んでいき、昼には母の買いものにつき合い、ケアマネージャーさんとの打ち合わせを済ませて自宅に戻り、夜には尼崎で開催されたセミナーに出席して帰ってこれました。これくらい普通にこなせる量だとおっしゃる方も多いとは思いますが、最近の疲れている私、いえ、普段の私だったら、おそらくヘトヘトになっていたと思います。
 
 
 
 
 
 
元気っていいな。
 
 
 
 
 
 
 
そう感じてふと思いました。
「ふつうの元気」ってどんな感じなんだろう?
 
病気に罹るまでは健康優良児でした。
風邪もひかないし、食欲もあって、デブでした。
病気に罹った当初、体重はひと月で15キロ減。
痩せ細った体にステロイドでパンパンのムーンフェイス。
誰が見ても病人です。
 
それでも気持ちは元気でした。
入退院を繰り返し、手術を繰り返し。
治まることのない下痢と激痛を伴う腹痛とともに生き、三度目の手術までは10メートルも歩けない日が大半で(愛犬の散歩もできなかった)、各地へ行くのはすべて車移動、パーキング毎におなかを抱えながらトイレに駆け込んでいました。
 
 
ご病気をされている方にはおわかりになると思いますが「痛み」はとても不思議です。ものすごく痛い日があって、次の日に少し治まるとふつうに生活してしまいます。そして、またものすごく痛い日がやってくる、そして我慢して、また少し治まる…繰り返しているうちに感覚が麻痺してしまうのです。
 
 
 
「昨日よりましだから大丈夫」
 
 
 
これは全然大丈夫ではありません。
私は次第に痛みどめで紛らわせて日常生活を送るようになりました。
そして「今日は元気」とステージに立っていました。
そしてだんだん「元気とは何か」がわからなくなっていきました。
 
 
 
 
 
私が病気で失くしたもの。
それは「元気な記憶」です。
 
 
 
 
「たらればの話」はしないと決めているのですが…本当にたまに…ウンとたまに…
一年に一度くらい考えることがあります。
 
もしも病気をしなければ、私はどのくらい元気なんだろう?
 
 
 
 
 
 
大切なものは失くしてみないとわからないと言います。
 
 
夢や希望を失くしたとき、生きる意味がわからなくなりました。
友人失くしたとき、その孤独は更なる絶望を引き寄せました。
 
しかし私は夢も希望も友人も取り戻しました。
別の機会に書かせていただきますが、夢も希望も友人も取り戻すことはできるのです。しかし…
この後に続く言葉はもうお気づきですよね。
 
 
 
 
 
健康と元気。
 
失くしたくて失くす人はいないと思います。
大切なことは誰もがわかっていると思います。
病気に罹ったとしても、それなりに元気になることはできます。
ですが、一度失った健康は戻ってきません。
そして、完全な「元気」を取り戻すこともできません。
 
 
私が今、伝えたいこと。
 
お元気な方はずっとお元気で。
ご病気をお持ちの方は今より悪くならないで。
今、持っている健康を守り抜いてください。
 
 
 
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一番苦手な春先、私はいつも体調を崩します。
最近の不調も季節の変わり目によるものだと思います。寒暖差が堪えているのかもしれません。春がやってきて暖かさに気持ちも緩み、元気が戻ってきたのだと思います。今年も桜を観ることができました。今ある元気に感謝です。
 
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