夫との出逢い その3

 
 
 
 
 
 

運命の出会いって本当にあると思う。
 
 
 
 
 
 
 

全世界の人口が70億人を超えたとニュースで見たのは何年前だったかしら。今は71億人以上の人が地球上に存在しているそうです。
 
 

71億分の1の出逢い。
同じ時間を過ごし、同じ夢を見る人との出逢い。
夫との出逢いは運命の出会い…いいえ、これは奇跡の出会い。
 

71億分の1の出会い。
想像もできない数だなあと、あらためて考えてみると、今までに出逢ってきた人たちもみんな、奇跡の出逢い。
 
 
 


……………

夫とはじめて共演したステージを終えた後、私の人生は絶望へと向かいました。一年に一度だった入院は半年に一度、三か月に一度と増えていきました。一度の入院が2か月以上ですので、ほとんど入院しているような状態です。もちろん演奏活動に支障がでました。入院するたびにたくさんの人に迷惑をかけました。それでも退院したら頑張るんだと気持ちは焦り、病状はどんどん悪化していきました。それを誰にも知られないようにと、裂けるような腹痛を我慢し、39度の熱が出ても解熱剤を飲んでステージに立っていました。そして最後に腸閉そくを破裂させてしまいました。
命の保証はないと言われた緊急手術でした。
おかげさまで手術は無事に終わったのですが、手術から目覚めた私にはもう頑張る力はどこにも残っていませんでした。
 
 


夢なんて言うのをやめよう。
夢なんて叶わないものなんだ。
もう、すべてあきらめよう。

心が折れてしまいました。
夢と目標を失ったその時、
未来が見えなくなりました。
 
 
 


この決断が自分をどん底へ突き落すことになるとは、その時の私はわかっていませんでした。夢をあきらめても、がんばるのをやめても、病気は再発し、手術は繰り返されました。生きることが辛くてたまりませんでした。友だちの活躍を喜べず、テレビを観ても、ラジオから音楽が流れてきても「病気じゃなかったら私だって」という気持ちでいっぱいになりました。そして、現実から逃げるために、睡眠薬や安定剤を飲むようになりました。
その後、社会へ出てくるまでに、本当にいろいろな出来事がありました。この頃のことはまた別の投稿で書かせていただきます。


少しずつ社会へ戻ろうと頑張っているときも、私は音楽を遠ざけていました。
そんな時にドラマーの高岡さんから電話がかかってきたのです。
 
 
 
 


「今度、奥田さんが神戸でライブをするって。」
 


高岡さんとは、私が楽器店のお手伝いをしているときに再会しました。その頃、私が頑張っていた時のことを知る唯一の人でした。夫(当時はまだ夫じゃないです)のバンド「サムシングスペシャル」のライブが神戸のグレートブルーというライブハウスで開催されるから、挨拶に来なさいとの電話でした。
そのグレートブルーというお店は、あの「ESPERANZA」を作曲された安藤義則さんのお店だとも聞きました。

「挨拶に行かなくちゃいけないものかしら?」と高岡さんに聞くと「あたりまえやで~」と言われます。正直、音楽を聴くのは全く楽しくなかったし、ライブハウスなんて行ったこともありませんでした。いやだなあ・・・と思いながらも「あたりまえ」と言われる挨拶くらいはしておかないといけない気がします。ものすごい勇気を出して、そのライブに行くことに決めました。
 
 
 
 

グレートブルーはJR三宮から北へすぐのお店です。地図を見て角を曲がると、金髪のバンドマンらしき人がいっぱいいました。それを見て引き返そうか・・と怯みましたが、せっかく来たのです。挨拶だけして一曲聞いて帰ろうと、気持ちを持ちなおしてお店の方へすすみました。その金髪のバンドマンさんの間にある階段を降りたらお店です。なんだかじろじろ見られている気がしますが、無視無視無視・・・と、気合を入れなおしたことをよく覚えています。

高岡さんが私を見つけてくれて、お店の中に連れていってくれました。お店の中は、大人な感じのライブスポットです。座るところもないくらいたくさんのお客さんが来られていました。はじめての空間なので、緊張して居心地はとても悪いです。

早く始まらないかな・・と思っていると、高岡さんが安藤さんを連れてきてくれて「あの時のエリオの病気でたいへんだった・・」と説明してくれます。その説明途中で安藤さんも思い出してくれて「あの時の!元気になったの?大丈夫?」と聞いてくれました。ほんの少し居場所ができてホっとした時に、高岡さんが夫を連れてきてくれて、同じように説明してくれました。
 
 
 
 
 
 

しかし。
 
 
 
 


夫は私のことをまったく覚えていませんでした。
顔いっぱいの笑顔でしたが、その笑顔の先に「誰だっけ?」と考えているのが見えました。思い出せなくてとってもとっても困っている笑顔でした。
 
 
 

あんなに心配してくれていたのに。
挨拶に来なくちゃいけないっていうから来たのに。
安藤さんまで覚えてくれていたのに・・・(夫は)覚えてないなんて!
 
 
 

一曲聞いたら帰ろう。

そう決めました。
でも、その後にまたまた運命が動き出すのです。

 
 
『夫との出逢い その4』につづきます。(まだ書いていませんが)
 
 

……………

奇跡のステージまでの道のり。
今日はレミケード治療を受けてきました。これで元気百倍です。いつもならしんどくて休んでいるのですが、少しがんばりました。FBのお友だちにメッセージを送ったりしましたよ。昨日送ったメールにも嬉しいお返事が続々と届いています。ますますがんばりますよ。

8月2日のリサイタル。
詳細は下記オフィシャルサイトを見てくださいね。
当日、お会いできることを願っています。
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