人生決める殺し文句。

 

 

 

今の私を見て難病患者だとわかる人は、おそらくひとりもいないでしょう。各地に講演会に行っても、主催者の皆さんが「お元気そうですね」と口を揃えて言われます。嬉しいことですね。

 

 

 

 



夫と再会した頃の私は、とても体調が悪く、入退院を繰り返しながら社会復帰に向けて頑張っていました。かと言って、演奏活動をしていた頃のように無茶はしません。周りの人に病気のことを話し「それでも生きていきたい」と思う気持ちを伝えていました。

 

 


夫とメールでやりとりをするようになって、自分の病気のことをどこまで伝えようか…と悩み始めました。当たり障りのない程度で済ますのか、しっかり話すのかどうしようかと。

 

何でしょうね。嫌われたくない気持ちがあったのかもしれません。「病気だからって嫌われることはないだろう」と今では思えますが、当時の私には気になるところでした。

 

 

 

 

 

どうやって伝えようかしら。


直接言うのがいいかしら。
顔色が変わったりすると嫌だな・・。
電話にしようかしら。
声色が変わるのも嫌だな・・。

 

 

 


迷った挙句、メールで伝えることにしました。
これなら顔色も声色も気にすることはありません。もし、病気のことが理由で「もう会わない」と思うなら、返事はないはずです。

 

 


クローン病という病気であること。
入退院を繰り返していること。
再発を繰り返していること。
手術を繰り返していること。
一生治らない病気であること。
食事制限が厳しくて、食べられるものが極端に少ないこと。

 

 


そんなことをいっぱい書きました。

送信するときに、ほんの少し躊躇いましたが、いつかは話さないといけないことです。ダメならダメ。早い時点で結果が出る方がいい。勇気を出して送信ボタンを押しました。

 



返事がくるまでの時間…長かったですね。
何度も送受信してみたりしました。


そして数時間後。

ようやく返事が返ってきました。
優しい言葉で埋まったメールです。

ひとつひとつ言葉を選んでくれていることが伝わってくるメールでした。

 

 


そこには、クローン病という病気が「食べられない病気」であることを知って「ショックだ」と書かれていました。そして、自分は食べることが大好きだから、食べられないなんて考えられなくて…とも書かれていました。
そして、最後に書かれていた言葉が私の人生を変えてくれました。

 

 

 

 


『たこ焼き一個でもいいから
      一緒に美味しいねって食べられるようになろうね』

 

 

 

 


この人となら生きていける。
人生決める殺し文句でした。

 

 

 


………

病気に罹ってから「できないこと」がどんどん増えていきました。絶食入院中に暇だからジグソーパズルをしていると「根を詰めてはいけない」と言われ、退院後の夢を語ると「がんばってはいけない」と言われ、クローン病の勉強会に行くと「食事を摂るのは罪」のように言われ(当時の話)、栄養指導に行くと「あれもこれもそれもこれも食べてはいけない」と言われ、仕事をがんばりたいと言うと「無理はだめ」「ストレス溜めたらだめ」「お付き合いでお酒飲んでもだめ」。「とにかく、がんばるな」と言われました。

 


一生治らない病気です。
この病気とともに生きていかなくてはいけないのです。とても大変なことだけど、同じ生きるなら、夢と目標と、そして「可能性」を信じて生きたい。
夫の言葉は、大きな可能性を与えてくれる、そんな言葉でした。

 


…………

8月2日のリサイタル。
詳細はこのオフィシャルサイトのホーム画面を見てくださいね。
ぜひぜひいらしてください。

当日、お会いできることを願っています。

 


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