父への手紙。

昨年から早朝のセミナーに通っています。

試練を乗り越えた様々な体験談を聞くことができ、毎回、生きていく上で忘れてはいけない「大切なこと」に気づかされます。

先日、私の心を打ったのは「亡き父に手紙を書いた」というお話でした。講話の中のほんの一部だったこのお話に、私は今までやり場のなかった”父への思い”を伝える方法を学ばせてもらいました。

2000年。父は亡くなりました。

脳梗塞にかかり、9年ほど寝たきりの生活をしていました。

母がひとりで父の介護をしていました。

その頃の私は体調も悪く精神状態も不安定で、安定剤と睡眠薬に頼る生活をしていましした。父の様子も母の様子も目の当たりにしているのに、何もできなかった、何もしようとしなかったのです。寝たきりになった父は脳の委縮がはじまり、そのうち母のことしか認識できず、私のことは誰かもわからないようになっていきました。それでも亡くなる直前、母と私、そして姉を見て、うっすらと涙を流したのです。

あのときこうしておけばよかった。

父の日がくるたびに、私の心は痛みました。

年齢を重ねるたびに、育ててくれた親の気持ちもわかってきます。

親孝行できずにごめんね。

育ててくれてありがとう。

私に命を与えてくれてありがとう。

今は亡き父。

どう伝えればよいのかわからなかったこの気持ちを、手紙に書いてみようと思います。

この手紙が父に届いたら、私はひとつ前にすすめるような気がします。 

ＥＳＰＥＲＡＮＺＡ

奥田良子