全国にコンサートに行きだした頃、私は体調がとても悪くて、どこに行くのも車移動でした。激しい腹痛(歩くと痛みが響くんです)と下痢で数メートル歩くのがやっとでした。とてもじゃないけれど電車で移動なんて無理だったのです。そんな状態でもコンサート活動を続けたのは、そこに夢と希望と幸せがあったからです。
病気になってから神戸を出ることはほとんどありません。通院で東京に行くとき、新幹線から見える富士山がとても楽しみでした。富士山が見えると「なんだかいいことありそう」と思えたものです。わくわくする、そんな気持ちになるんです。
そして10年ほど前。
山梨県でのコンサートの時に初めて中央道を通りました。
長野を過ぎたあたりから景色を観るのが楽しくなっていました。空気も澄んでいて気持ちいいなあと思っていると、カーブの先に見たこともないような大きな大きな富士山が現れました。本当に驚くくらい大きかったんですよ。
わくわくを通り越してドキドキしました。
手を合わせて願います。
富士山と言えば日本一。
私は強く強く願いました。
いつか、日本一元気なクローン病患者になりますように。
あれから10年。
願いは叶いましたね。
皆さんもそう思われるでしょう?
本当に幸せです。
この幸せに心からのありがとうを。
そして、この幸せを大切にこれからも元気にがんばります。
ESPERANZA
奥田良子
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